交際費等の税務上の区分と判断ポイント

交際費等は原則として損金不算入です。会計上「会議費」で処理していても、税務上は勘定科目の名称ではなく、相手方・目的・支出方法などの実態で区分します。

従業員行事、一定の社外飲食費、会議の茶菓・弁当、広告宣伝品などは要件を満たせば交際費等から除かれるため、本記事では現行制度と会議費・福利厚生費等との区分を解説します。

01交際費課税の主な変遷

交際費課税は、企業の交際費等の支出を抑制する考え方を基本としながら、政策目的や物価の上昇などを踏まえて変更されてきました。主な変遷は、次のとおりです。

2003年
資本金1億円以下・年400万円の90%へ対象法人が資本金1億円以下へ拡大され、年400万円の定額控除限度額内の90%を損金算入する制度となりました。
2006年
1人当たり5,000円以下の社外飲食費を除外2006年度税制改正で、所定事項を記載した書類を保存することを条件に、一定の社外飲食費が交際費等の範囲から除かれました。
2009年
定額控除限度額を年600万円へ資本金1億円以下の法人について、定額控除限度額が年400万円から600万円へ引き上げられ、限度額内の90%を損金算入できることとなりました。
2013年
年800万円まで全額損金算入資本金1億円以下などの中小法人について定額控除限度額が年800万円へ引き上げられ、限度額内の10%を損金不算入とする措置が廃止されました。
2014年
接待飲食費の50%損金算入を導入社内飲食費を除く接待飲食費の50%を損金算入できる特例が導入され、中小法人は年800万円の定額控除との選択適用となりました。
2020年
資本金100億円超の法人を50%特例から除外期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人は、接待飲食費の50%損金算入特例の対象外となりました。
2024年
社外飲食費の基準を1人当たり1万円以下へ2024年4月1日以後に支出する一定の社外飲食費について、交際費等から除外される金額基準が5,000円以下から1万円以下へ引き上げられました。

02現行の交際費課税

2-1現行制度

現行制度の概要は、次のとおりです。

年800万円の定額控除および接待飲食費の50%損金算入の特例は、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。

区分中小法人等
(一定の大法人子会社等を除く)
大企業
資本金等100億円以下資本金等100億円超
1人当たり1万円以下の飲食費一定の社外飲食費は交際費等から除外
年800万円
定額控除
選択適用
(事業年度ごとの有利選択)
適用なし適用なし
接待飲食費
50%損金算入
適用あり

2-2飲食費と保存要件等

1人当たり1万円以下の飲食費と接待飲食費の50%損金算入は、対象となる飲食費が重なる一方、税務上の取扱いと記録・保存の要件が異なります。

比較項目1人当たり1万円以下接待飲食費の50%損金算入
税務上の取扱い交際費等から除外され、原則として全額を損金算入
1人当たり1万円を超える場合は、飲食費の全額が交際費等の判定対象
交際費等に含まれ、接待飲食費の50%を損金算入
対象となる飲食得意先、仕入先など社外の事業関係者が参加する飲食等社内飲食費を除く飲食費
対象となる金額1人当たり1万円以下1人当たりの金額基準なし
対象法人法人区分を問わず適用期末の資本金等が100億円を超える法人等を除く
参加人数1人当たりの金額を判定するため記載が必要法定の記載事項には含まれない
記録・保存飲食日、参加した社外者の氏名・名称と関係、参加人数、金額、飲食店等の名称・所在地、その他飲食費であることを明らかにする事項を記載した書類を保存飲食日、参加した社外者の氏名・名称と関係、金額、飲食店等の名称・所在地、その他飲食費であることを明らかにする事項
記載例保存書類の記載例
  • 飲食日:2026年8月20日
  • 金額:36,000円(税込)(1人当たり9,000円)
  • 備考:レストラン○○(福岡市○○区○○1-2-3)/新規取引の打合せ/新規取引予定先 株式会社○○ A氏・B氏、当社 C・D(計4名)
帳簿書類の記載例
  • 飲食日:2026年8月20日
  • 金額:36,000円(税込)
  • 備考:レストラン○○(福岡市○○区○○1-2-3)/新規取引の打合せ/新規取引予定先 株式会社○○ A氏・B氏
総勘定元帳、領収書、請求書などに記載します。
消費税等の取扱い税込経理方式では税込価額、税抜経理方式では税抜価額を用い、法人が採用する消費税等の経理処理に対応する金額で判定・計算します。
申告時の取扱い交際費等から除外して処理別表15に接待飲食費の額を記載

飲食費に含まれる費用・含まれない費用

飲食費に含まれる費用飲食費に含まれない費用
  • 飲食代
  • テーブルチャージ料・サービス料
  • 飲食のための会場費
  • 一定の弁当代
  • 飲食店での飲食後に、その店舗から持ち帰る土産代
  • 飲食店等への送迎費
  • ゴルフ・観劇・旅行等の催事と一体となった飲食費
  • 贈答用の飲食物の詰め合わせ
1万円基準や接待飲食費の50%損金算入とは別に、交際費等への該当を確認します。

2-3中小企業

中小企業(大企業の子会社等を除きます)は、年800万円までの定額控除と接待飲食費の50%損金算入のいずれかを、事業年度ごとに選択して適用できます。

損金算入額の比較

年800万円の定額控除では、交際費等のうち年800万円までを損金に算入できます。これに対し、接待飲食費の50%損金算入では、接待飲食費の50%を損金に算入します。中小企業は、両者の損金算入額を比較して有利な方法を選択します。

12か月の事業年度では、接待飲食費が年1,600万円を超えると、その50%相当額が800万円を超えるため、50%損金算入による損金算入額の方が大きくなります。12か月未満の事業年度では定額控除限度額を月割りし、例えば6か月決算では400万円となります。1か月未満の端数は1か月として数えます。

中小法人向け特例の適用対象

年800万円の定額控除は、原則として期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人が対象です。ただし、自社の資本金等が1億円以下でも、資本金等が5億円以上の法人などによる完全支配関係がある100%子法人等は対象外となります。適用判定では、自社だけでなく、親会社等の資本金と持株関係も確認します。

親会社等に100%支配される子法人等の取扱いは、次のとおりです(子会社自身の資本金等が100億円以下の場合)。

法人の区分年800万円の定額控除接待飲食費の50%損金算入
資本金等1億円以下
(下記の100%子法人等を除く)
適用あり適用あり
資本金等5億円以上100億円以下の親会社等に100%支配される子法人等適用なし適用あり
資本金等100億円超の親会社等に100%支配される子法人等

なお、1人当たり1万円以下の社外飲食費など、要件を満たして交際費等の範囲から除かれる費用は、この損金不算入計算の対象になりません。

2-4大企業

法人区分と損金不算入

大企業は、期末の資本金の額または出資金の額によって、交際費等の取扱いが異なります。交際費等は原則として全額が損金不算入ですが、資本金等が100億円以下の法人は、接待飲食費の50%を損金に算入できます。資本金等が100億円を超える法人は、この特例を適用できないため、交際費等の全額が損金不算入となります。ただし、上記2-2の1万円基準を満たす社外飲食費は交際費等の範囲から除かれるため、この取扱いの対象になりません。

03交際費等の考え方と他の科目との区分

3-1交際費等を区分する考え方と留意点

交際費等に該当するかは、会計上の勘定科目ではなく、支出の相手方や目的などの実態によって判断します。主な確認事項は、次のとおりです。

交際費等を区分する際の確認事項
相手方
得意先・仕入先などの事業関係者、役員・従業員、不特定多数の一般消費者など、誰に対する支出かを確認します。
支出の目的
接待、供応、慰安、贈答のためか、会議、広告宣伝、福利厚生など別の目的によるものかを確認します。
対象範囲
特定の相手だけを対象とするか、全従業員などをおおむね一律に対象とするか、不特定多数を対象とするかを確認します。
支出基準・内容
金額や内容が通常の範囲か、売上数量等の合理的な基準に基づくか、議事録や領収書などで実態を説明できるかを確認します。

役員・従業員またはその親族だけを対象とする接待等の飲食費は「社内飲食費」となり、1人当たり1万円以下の除外基準や、接待飲食費の50%損金算入特例の対象になりません。ただし、社内で行う飲食のすべてが交際費等に該当するわけではなく、対象範囲や金額、目的によって福利厚生費や給与等に区分されることがあります。

3-2他の勘定科目との区分と留意点

支出の実態を踏まえ、交際費等と他の勘定科目を次のように区分します。

交際費等と他の勘定科目との区分と留意点
会議費
業務上の打合せや会議としての実体があり、会議に関連して通常供与される茶菓、弁当などの費用です。議題、時間、参加者、場所などから会議の実体を説明できることが重要です。1人当たり1万円以下であることだけを理由に会議費になるわけではありません。
福利厚生費
全従業員または相当範囲の従業員をおおむね一律に対象とし、金額や内容が通常の範囲である社内行事、忘年会、慶弔費などです。
給与等
役員・従業員の私的な費用を会社が負担した場合や、特定の者へ個人的な経済的利益を与えた場合です。役員については損金不算入や源泉所得税の問題も生じ得ます。
広告宣伝費
不特定多数の一般消費者への宣伝効果を意図した景品、試供品、カレンダーなどの費用です。特定の得意先や事業者を対象とする贈答は、交際費等となる可能性があります。
寄附金
事業に直接関係のない者などに対する金銭・物品その他の経済的利益の無償供与です。名称ではなく、相手方との関係と支出の実態で交際費等と区分します。
売上割戻し・販売奨励金
売上高、販売数量、回収額など事前に定めた合理的な基準に基づく支出は、通常、売上割戻し等として扱います。特定先への恣意的な謝礼や贈答は交際費等となることがあります。

3-3交際費等の判定フロー

個々の支出について、相手方、目的、対象者、算定基準、金額、保存資料などから交際費等に該当するかを確認します。

交際費等と隣接勘定科目の確認フロー
No確認すること判定結果
①会議に関連する通常必要な茶菓・弁当等ですか?→
(YES)
会議費として交際費等から除外
↓(NO)
②従業員をおおむね一律に対象とする通常の社内行事ですか?→
(YES)
福利厚生費として交際費等から除外
↓(NO)
③役員・従業員の私的費用や個人的利益ですか?→
(YES)
給与等として確認
↓(NO)
④不特定多数への宣伝を目的とする支出ですか?→
(YES)
広告宣伝費として確認
↓(NO)
⑤売上数量等の合理的な基準に基づく支出ですか?→
(YES)
売上割戻し・販売奨励金として確認
↓(NO)
⑥事業に直接関係のない者への金銭の贈与等ですか?→
(YES)
原則として寄附金。支出の実態を確認
↓(NO)
⑦飲食等の費用ですか?→
(NO)
接待・贈答等として交際費等への該当を確認
↓(YES)
⑧専ら役員・従業員またはその親族を対象とする飲食ですか?→
(YES)
社内飲食費として確認
↓(NO)
⑨1人当たり1万円以下で、所定の書類を保存していますか?→
(YES)
交際費等から除外
↓(NO)
接待飲食費として、法人区分に応じた損金算入を確認

本記事は、最終更新日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当法人の見解等を掲載したものです。情報の正確性に細心の注意を払っておりますが、掲載した情報の使用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負うものではありません。
ご自身のケースに当てはめた判断が必要な場合は、税理士等の専門家にご相談ください。