相続税申告が必要となる場合

相続税は、亡くなった人(被相続人)から相続や遺贈などによって財産を取得した場合に、その財産の価額を基に計算する税金です。

ただし、財産を相続したすべての人に申告が必要となるわけではなく、正味の遺産額と基礎控除額、特例制度の適用関係によって申告の要否を判断します。

01相続税の概要

相続税は、各相続人等の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、その超える部分が課税遺産総額となり、原則として相続税の申告が必要です。

相続税の課税価格は、預貯金、不動産、有価証券などの相続財産に、死亡保険金などのみなし相続財産や一定の贈与財産を加え、被相続人の債務や葬式費用などを差し引いて計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

※法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとして計算します。また、法定相続人に含める養子の数には一定の制限があります。

02相続税の特例制度

相続税には、残された配偶者の生活や、被相続人等の居住・事業の継続に配慮する観点から、さまざまな特例が設けられています。ここでは、申告要否の判断に関係する代表的な特例を取り上げます。いずれも、原則として申告期限までに遺産分割が成立していない財産には適用できません。ただし、所定の手続きを行い、期限後に分割した場合には適用できることがあります。

2-1配偶者の税額軽減

配偶者が実際に取得した正味の遺産額について、次のいずれか多い金額まで、配偶者に相続税はかかりません。

基準・要件内容
定額基準1億6,000万円
法定相続分基準配偶者の法定相続分相当額
申告要件相続税の申告書または更正の請求書に税額軽減の明細を記載し、配偶者が取得した財産が分かる書類等を添付します。原則として申告期限までに遺産分割が必要です。

2-2小規模宅地等の特例

被相続人等の居住用または事業用などに使用されていた宅地等について、一定の要件を満たす場合には、限度面積まで相続税評価額を減額できます。

宅地等の区分主な利用限度面積減額割合
特定居住用宅地等被相続人等の居住用330平方メートル80%
特定事業用宅地等被相続人等の事業用400平方メートル80%
特定同族会社事業用宅地等一定の同族会社の事業用400平方メートル80%
貸付事業用宅地等貸付事業用200平方メートル50%
貸付事業用の制限相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、原則として対象外です。ただし、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の、その特定貸付事業の用に供された宅地等は対象外となりません。
申告要件相続税の申告書に特例を受ける旨を記載し、計算明細書や遺産分割協議書の写し等を添付します。原則として申告期限までの分割と、対象宅地等の選択について対象者全員の同意が必要です。

03申告が必要となる場合

相続税の申告要否は、特例適用前の課税価格の合計額と基礎控除額を比較したうえで、申告を要件とする特例や税額控除の適用関係を順に確認して判定します。

相続税申告が必要となる場合の確認フロー
No.
確認すること
申告の有無
1
特例適用前の課税価格の合計額が、基礎控除額以下である
→(YES)
申告不要
↓(NO)
2
小規模宅地等の特例または配偶者の税額軽減を適用する
→(YES)
申告必要
↓(NO)
3
障害者控除、未成年者控除、相次相続控除または外国税額控除により、財産を取得した人全員の税額が0円となる
→(YES)
申告不要
↓(NO)
申告必要

相続税の申告・納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。申告が必要となる場合は、申告期限までに遺産分割が成立していなくても期限内に申告し、納付税額がある場合には納付する必要があります。

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