税務調査と地方税

法人税の税務調査で所得金額や法人税額が変わると、法人事業税や法人住民税などの地方税にも影響します。国税の修正だけで手続きが完了するわけではなく、地方税についても申告先、提出期限、納付額および加算金を確認する必要があります。

01法人税の調査は地方税に影響

1-1地方税は法人税と連動する

法人事業税の所得割は法人税の所得、法人住民税の法人税割は法人税額を基に、地方税独自の調整や税率を適用して計算します。このため、法人税の調査で所得や税額が変わると地方税も再計算が必要です。

なお、外形標準課税、収入金額課税、分割基準、事務所等の認定などについては、自治体による独自の調査が行われます。

税目項目課税標準自治体の主な確認事項
法人住民税法人税割法人税額分割基準、適用税率など
均等割資本金等の額・従業者数事務所等の所在期間、従業者数など
法人事業税所得割法人税の所得地方税独自の加減算、分割基準など
付加価値割・資本割付加価値額・資本金等の額報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料、資本金等の額など
収入金額課税収入金額対象事業の判定、課税標準となる収入金額など
事業所税資産割・従業者割事業所床面積・従業者給与総額免税点、床面積、従業者数など

1-2税務調査と行政指導は区別される

税務署から申告内容について連絡があった場合でも、すべてが税務調査に該当するわけではありません。国税庁は、税務調査と行政指導を区別しており、申告書の計算誤りや記載漏れに関する自発的な見直しの依頼などは行政指導として行われる場合があります。

02法人住民税の修正申告

法人住民税は、法人税額を課税標準とする法人税割と、資本金等の額や従業者数などに応じて計算する均等割から構成されます。法人税の修正申告や更正により法人税額が増加した場合は、法人税割も修正します。均等割は法人税額の増減だけでは変わりません。

03法人事業税の修正申告

3-1法人税の更正・決定に伴う修正

法人事業税の課税標準は、法人税の課税標準を基に一定の調整を加えて計算します。法人税の更正または決定により所得金額が増加した場合は、その内容を法人事業税へ反映して修正申告を行います。所得割と特別法人事業税を再計算し、外形標準課税の対象法人は付加価値割や資本割への影響も確認します。

3-2複数の都道府県に事務所等がある場合

2以上の都道府県に事務所等がある法人は、課税標準を従業者数などの分割基準により関係都道府県へ配分します。税務調査で所得金額が変わる場合には、各都道府県への修正申告だけでなく、分割基準、事務所等の所在期間および従業者数の集計も再確認します。

事業年度中に本店移転、支店の開設・廃止または従業者数の変動があった場合は、単純に増加所得を一つの自治体へ加算するのではなく、対象年度の分割計算に基づいて申告します。

04過少申告加算金との関係

4-1法人住民税の過少申告加算金

法人事業税と異なり、法人住民税の法人税割は法人税額を課税標準とし、法人税の申告や更正の結果に連動して税額が決まるため、法人住民税には過少申告加算金はありませんが、納付の遅延に対する延滞金は免除されません。

4-2法人事業税の過少申告加算金

期限内申告をした後に法人事業税の税額が増加する修正申告または更正があった場合、原則として増加した税額の10%に相当する過少申告加算金が課され、増加した税額のうち、当初の期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、さらに5%が加算されます。

ただし、正当な理由がある場合、更正を予知しないで修正申告をした場合などには、過少申告加算金が課されないことがあります。

過少申告加算金が課されない場合でも、本税に対する延滞金まで当然に免除されるわけではありません。法人事業税と特別法人事業税の追加納付額、納付期限および延滞金を別に確認し、修正申告と納付を並行して進めます。

4-3通知を受けた日から1か月以内の修正申告

法人税について正式な更正・決定通知を受け、次の要件を満たして法人事業税の修正申告書を提出した場合、過少申告加算金は課されません。税務調査の指摘事項に基づいて法人税の修正申告書を自主的に提出した場合は、正式な更正・決定通知を受けた場合とは異なり、この取扱いの対象にはなりません。また、仮装・隠蔽の有無は、この取扱いの適用要件ではなく、重加算金を課すかどうかを別に判定します。

要件内容
正式な通知税務官署から法人税の更正または決定の通知を受けていること
通知に基づく申告その通知に基づく法人事業税の修正申告であること
提出期限通知日から1か月以内に提出すること

05まとめ

国税の調査対応が終了した後に地方税の期限を確認すると、1か月の提出期限に間に合わないことがあります。法人税について更正を受けた場合でも、法人事業税は通知日から1か月以内に修正申告することで、過少申告加算金が課されない取扱いがあります。税務署から修正内容が示された段階で地方税の影響額を試算し、通知書の受領後すぐに申告できるよう準備しておくことが実務上重要となります。

本記事は、最終更新日時点の法令等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しています。実際の適用関係は、申告の経緯、通知の内容、提出時期および所管自治体の取扱いにより異なる場合があります。
ご自身のケースに当てはめた判断が必要な場合は、所管自治体または税理士等の専門家にご相談ください。